Art Work

森羅万象というあなた #1706




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vol.7参加作品

コンセプト

東京展の前に滞在活動した福島県西会津町では、雄大な飯豊山を間近に臨み、阿賀川の谷がつくる起伏に富む自然環境に触れて、この土地が持つ豊かさを実感する。人がこの土地の環境を敬い、共存していく感覚・精神を自然に抱くことができるところだと思う。このような環境や大きな自然災害を目の当りにすると、私たち人間は、その環境のなかに棲息する生き物のひとつに過ぎないことを、はっきり自覚する。そのささやかな生涯だからこそ、いまここに他者と縁を結んで存在していることが貴重なのだと思える。

人間界、人間が築いた文明のかたち。それは地殻変動や災害を含むあらゆる自然現象を大きなサイクルで繰り返す地球の、その表層に生きている人間の証だ。それでは、人間以外の他者とはどのようなものだろう?動物、植物、昆虫や微生物のみならず、山に分け入って感じる濃厚な気配は、大地が育んで来た悠久の時間の積層やその土地のスピリット。これが地霊というものだろうか。そのような、あらゆる存在に包まれて私たちが生きていることを、再認識してみたいと思うのだ。たとえ科学的には解明できないとしても。

作品は、人間界と、私たちが向き合う「森羅万象」という他者を表す。この東京都美術館の深い地下空間では、土地が内包するものにわずかでも近づけている気がする。地殻を想像させる荒々しい壁の硬質なスペースには、外の森の気配や列車の通過音が遠い宇宙からのコンタクトのようにこだまし、都市にいながら、私たち人間をひとつの生命体として意識することができる。

photo: Maruyama Tokio(1・2枚目)
photo: Maruyama Yoshiko(3枚目)

アーティスト
丸山芳子