2021Start Line
精神の<北>へ2021はこれまでに経験したことのない状況で進んでいる。
人は、新しい距離や対話を模索している。
Gillian McFarlandと滝沢達史は、この状況において互いの距離を近づけることからスタートした。
土地への移動ができなくなった今回、体験を共有するために互いの国の料理を交換することにした。スコットランドからは麦のお粥「ポリッジ」の食材が送られ、日本からは喜多方の伝統料理「こづゆ」の食材が送られる。スコットランドは度々ロックダウンとなる中にあって、改めて、身体が自然を摂取することについて2人は考えている。
このやり取りの途中でGillianは、こづゆの食材であるキクラゲ(アラゲキクラゲ)「英訳=Cloud Ear Mushroom」という言葉に着目した。それに滝沢も呼応して、
「コロナ禍における世界中の音を聴く<雲耳>」というイメージが生まれた。
「cloud ear」を2人のコラボーレーションタイトルとして、秋までの巡回展は「雲耳」を探す旅となるだろう。
6月にスコットランド/パースで開かれる展覧会では、食の交換と、風景の交換をする。
風景の交換では、互いの土地で見つけた流木で椅子を作り、それを持って山に登る。このアイデアは滝沢が2013年に原発事故後の喜多方の山に椅子を背負って登ったプロジェクトに起因している。それに加え今回は、スコットランドの伝統的な織物であるタータンも持参する。タータンの柄は領土との関わりが深いことから、2つの要素はその先に接点がありそうだ。
まずは互いの座標を定め、それぞれの<北>を目指す旅が始まる。
Gillian McFarland
Tatsushi Takizawa
https://www.takizawatatsushi.com
2021.04.29