私たちは、お互いの日常や作品の話を特にテーマを決めることなく話しはじめています。
隣の桜の最初の一輪を報告してから、いまはもうすっかり葉桜。
週に一、二回
インゲの昼間と真理子の夜
最初にわたしはインゲが歩いた(どこかにいった?)場所までの簡単な地図をかいて送ってほしいと頼みました。
インゲからおくられた最初は芭蕉の俳句でした
お別れの句
その句を聞いて
冬の川を思い描いたのは
たまたま川のことを考えていたからか
その詩に出てくる鳥が冬の河岸を思い浮かばさせる鳥だったからなのかは
わからないけど
—
わたしがいま進行しているプロジェクト「隙間の地形_川のはなし」の話をしました。わたしにとっては今回の精神の北へでの制作にもつながる内容です。
私には触ることができない他者の世界のはなしです
浅井真理子 隙間の地形_川のはなし
https://www.marikoasai.com/%E9%9A%99%E9%96%93%E3%81%AE%E5%9C%B0%E5%BD%A2-in-between
今回のプロジェクトでインゲさんと数ヶ月にわたって話す機会を得ました。あったことがない遠くにいるインゲとモニター越しで話すのは、すりガラス越しの会話。
知らない他者であるインゲさんへの長い旅のようです。
とおいところにいるあなた、あったことのないあなた
反射する石をつくり、空間を変容させる人?
わからないあなたの物語
今私は、あなたという「不明」を旅したいとおもっています。
でもきっと、これから二人でどうなるかは
「不明」です
とても楽しみな「不明」
インゲは「隙間の地形_川のはなし」主題に興味をもち、彼女の中で何かが生まれてきているようです。
私も彼女から聞くはなしのなから新たな物語が生まれてきています。
ーーー
あったことのない、私たちの会話は犬が散歩するみたいだと彼女が言う
そうだね
あっちにいったり、こっちにいったり
匂いを嗅いだり
実際匂いはしないんだけど
気配もなくて
Iが話すリズムを少し覚える
Mariko ASAI
ingepanneels
2021.04.30