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Archive for 8月, 2017

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

【5月17日】午後、スウェーデンからアマンダ・ビルバリが到着。約1ヶ月の日本滞在で、西会津町(福島県会津地方)と東京での制作と発表をします。これまで海外からアーティストを招く場合は3人でしたが、今後の継続可能な活動方法を探り、コンパクト化を試みるため、今回は彼女ひとり。運営経費や気苦労が軽減される上に、じっくり向き合えたと思います。

 

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

【5月19日】西会津町に移動した翌日から、さっそく町のリサーチに取りかかります。実行委員会メンバーの阪下昭二郎さんの案内で、町の南側に点在する弘法岩屋、鳥追観音、蝦夷神社、大山祇神社などを回りました。アマンダは会津の風景の中でのダンスを映像作品にしたい希望があり、その視点でフィットする場を探します。
私(丸山芳子)の一番のおすすめはこの写真の大山祇神社。太い杉古木の参道は足元の石まで苔むして、野趣と神聖な気に満ちています。リーフレットに使った写真もこの場所。

 

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撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

【5月20日】翌日も撮影ポイントのリサーチ。芸術村事務長の星眞智子さんの案内で、今度は町の北部を回ります。星さんおすすめの弥生には、小川の周辺に神秘的な雰囲気が保たれている急流があります。アマンダはすぐにカメラに三脚をセットし、ダンスの身支度をして撮影に入りました。思いがけず撮影現場を目撃でき、被写体になるだけでなく、こうやって撮影も音の採取も編集もすべて自分でするアマンダの力量を再認識しました。

 

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影を終えて、映像や音の素材が揃ったアマンダは、編集作業に入ります。この映像は東京都美術館で彼女の作品として投影されます。

私たちが芸術村での公開日までに制作できるのは正味8日間程度。日々テキパキと事を進めないといけない。
そう思いつつ、この地域に滞在しているという貴重な機会をもっと地元の方との交流にあてたい!アーティストとしてはこのような機会だからこそ、思い切りここで表現したい!そして日数と経費の制限もある…こんなジレンマがいつもあります。

 

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

【5月21・22日】丸山芳子は、人間と人間以外のあらゆる存在が向き合う光景を、石膏片で表現する2組のジオラマで作ろうとしています。そのシンボルのように立つのは、人間の足と、人間が向き合おうとする「他者」の足。動植物やスピリットや伝承の神様や天体などのあらゆるものを象徴する「他者」の足には、ダンスで鍛えたアマンダの筋肉質で少し大きめの足がぴったり!ということで、型取りさせてもらいました。

 

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

【5月22日】地元のケーブルテレビが取材に訪れました。「北欧の国スウェーデンからやってきた美しいダンサーを、みんなで見に行きましょう!」という筋書か?ともかくアマンダをロマンチックに演出して撮って行きました。丸山の出番はこの作業シーンだけ。24日の放送を見て、アマンダはもっとマッチョなダンサーだよね〜ふたりで大笑い。

 

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山常生

撮影:丸山常生

【5月25・26日】廊下の水道前で石膏片をつくる丸山芳子から見える、アルミホイル片をつくるアマンダと、公演の音響環境を整える西会津サウンドネットワークの加藤英二さん。それぞれが作業中。

 

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

アマンダと矢部さんは映像用に暗幕を取り付け、丸山常生も芸術村入りしてパフォーマンス用のセッティング。

 

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

【5月27日】 公開イベント当日。午前中に伊藤勝町長と伊藤善文商工観光課課長が来場され、アマンダの映像に興味を示して行かれました。

 

撮影:アマンダ・ビルバリ

撮影:アマンダ・ビルバリ

出演者のひとりがアクシデントで遅れそう!肝を冷やしたけれど、矢部さんの機転で別の交通手段が提案され、切り抜けられました。よそものの自分たちだけだったらこうは行かないはず。地元の方々との恊働の大切さを実感します。
あとはみんなの無事の到着を待つだけ。
(開催の様子は「ニュース」をご覧下さい。)

撮影:アマンダ・ビルバリ

撮影:アマンダ・ビルバリ

西会津国際芸術村は、最寄り駅や繁華街から車で15~20分の距離がある山間地域寄りにありますが、そのユニークな活動と発信力によって注目され、多様なメディアで紹介されています。
ディレクターの矢部佳宏さんには2014年から「精神の〈北〉へ」に関わっていただいています。運営人材や資金の確保が容易ではない現状におけるプロジェクトの継続について考えたい今、ここでの滞在活動を経験し、ヒントを探してみようと思いました。

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

芸術村の玄関にかけられている芸術村メンバーのみなさんの名札。
車の運転をしない私たち滞在者(丸山芳子とアマンダ・ビルバリ)のために、リサーチや制作活動のサポートばかりでなく、食料の買い出しやビューポイントの紹介、開催日の出演者の送迎なども助けていただきました。名札のほかにも「地域おこし協力隊」の池田麗奈さん、すばらしい音響環境を用意してくださった加藤英二さん、西会津の精神性ポイントを案内して下さった阪下昭二郎さん、通訳してくださった楢崎萌々恵さん、この滞在活動を受け入れ支援して下さった西会津町など、多くの方に支えられた滞在でした。

 

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

6: 丸山芳子「森羅万象というあなた」/ MARUYAMA Yoshiko, “You, The Universal Creation”

 

撮影:アマンダ・ビルバリ

撮影:アマンダ・ビルバリ

撮影:丸山常生

撮影:丸山常生

うっそうとした森を背景に建つかつての中学校校舎では、教室と廊下の窓をとおして、ここが生き物のワイルドな気配に包まれているのがわかります。この作品は、人間が人間以外のあらゆる存在と向き合い、もっと理解し融和しようとする意思表示です。その存在は、動植物に限らず、地霊や自然の神様や天体も含み、大らかにこちらを向きながら、校舎の外壁を越えて外界とつながり、現実の森羅万象を作品に招き入れています。

 

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:半沢政人

撮影:半沢政人

撮影:大和田優

撮影:大和田優

 

 

7: 石倉敏明 人類学講演「宇宙論とフードスケープ」/ ISHIKURA Toshiaki, Lecture of Anthropology

 

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

地域の食文化は、その土地に暮らす人間が目の前に広がる田畑や里山や海の景色を食べること。つまり、私たちの内蔵の延長としてその風土があり、食べることは人間の身体と地域の生態的な宇宙をつないでいる。
プログラム盛りだくさんの長い一日を最後までお付き合い下さった方々は、西会津の味を思い出しつつ、〆の講演を堪能しました。

アーティスト達は、西会津での体験と感応を2週間後のvol.7 東京展の作品に反映させます。

3: アマンダ・ビルバリ / Amanda BILLBERG,   “Silver Falling”
4: 高島正志  / 
TAKASHIMA Masashi,   “Music And Poetry For Sound Memories”

公演と展示会場の2階の元教室は、窓を取り払うと廊下からも見えます。 ビルバリの公演は、スウェーデンの雪原で倒れる映像からスタートし、ここ芸術村の会場でも激しいFalling(転落・崩壊)を繰り返しました。
会津地方で採取した音から作った高島のサウンドは、公開時間の前半にこの長い廊下全体に流され、ビルバリの表現にも挿入されました。

音響調整:加藤英二、撮影:丸山芳子

音響調整:加藤英二、撮影:丸山芳子

映像のダンス:アマンダ・ビルバリ、サウンド:ケネス・コシモ / 撮影:アマンダ・ビルバリ

映像のダンス:アマンダ・ビルバリ、サウンド:ケネス・コシモ / 撮影:アマンダ・ビルバリ

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:大和田優

撮影:大和田優

 

5: 丸山常生「『そこにいる』ということ」/ MARUYAMA Tokio

ビルバリのダンスから丸山のパフォーマンスへは自然に移行します。ビルバリの髪についたアルミ片をつまんだ丸山が紙で塞いだ教室に入り、ビルバリは中から聴こえる床のきしみ音に反応し、廊下で身振りをします。

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:丸山芳子

撮影:大和田優

撮影:大和田優

撮影:大和田優

撮影:大和田優

 

(展示・講演は次のページへ)

 

撮影:アマンダ・ビルバリ撮影:アマンダ・ビルバリ

2017年の「精神の〈北〉へ」vol.6は、会津地方北西部山間地域の西会津町での滞在活動を経て、5月27日の公開イベントを開催しました。
会場の西会津国際芸術村の玄関には、当日のプログラム。

 

撮影:丸山常生

撮影:丸山常生

撮影:丸山常生
撮影:丸山常生

1: ドキュメンタリー「サーミ・ニエイダ・ヨイク」上映 / Documentary of Sami

監督:リセロッツ・ヴァイステッツ
この上映を共催するスノーコレクティブ代表の橋本晴子さんによる解説を交えて紹介。

「精神の〈北〉へ」プロジェクトは、世界の北方の人と向き合うことで東北人とは何かを探ろうと、これまでにも北欧の先住民族サーミを知るレクチャーなどを開催しています。(詳細は記録集をご参照ください)今回は、サーミである女性監督の自分を見つめる旅のドキュメンタリー上映です。
午後2時から8時まで、上映/試食/公演と展示/講演 の長い一日ですが、最初の催しからたくさんのお客様が、東京を含めた遠方からも。ありがたいです。

 

撮影:大和田優
撮影:大和田優

 2: 西会津の味 試食会 / Taste the local dishes 

料理人:
佐藤ミヨ子さん(みちのく山菜の宿 茶屋)料理5品
小野木麗子さん(ブックカフェ石竹花)スウィーツ2品

上映会から公演へ。催しの区切りに西会津の地元料理を味わっていただき、8時まで続く開催にそなえて腹ごしらえ。最後の石倉敏明 講演「宇宙論とフードスケープ」の地域食の話とも共振しています。

(公演は次のページへ)