2021.04.30
私たちは、お互いの日常や作品の話を特にテーマを決めることなく話しはじめています。
隣の桜の最初の一輪を報告してから、いまはもうすっかり葉桜。
週に一、二回
インゲの昼間と真理子の夜
最初にわたしはインゲが歩いた(どこかにいった?)場所までの簡単な地図をかいて送ってほしいと頼みました。
インゲからおくられた最初は芭蕉の俳句でした
お別れの句
その句を聞いて
冬の川を思い描いたのは
たまたま川のことを考えていたからか
その詩に出てくる鳥が冬の河岸を思い浮かばさせる鳥だったからなのかは
わからないけど
—
わたしがいま進行しているプロジェクト「隙間の地形_川のはなし」の話をしました。わたしにとっては今回の精神の北へでの制作にもつながる内容です。
私には触ることができない他者の世界のはなしです
浅井真理子 隙間の地形_川のはなし
https://www.marikoasai.com/%E9%9A%99%E9%96%93%E3%81%AE%E5%9C%B0%E5%BD%A2-in-between
今回のプロジェクトでインゲさんと数ヶ月にわたって話す機会を得ました。あったことがない遠くにいるインゲとモニター越しで話すのは、すりガラス越しの会話。
知らない他者であるインゲさんへの長い旅のようです。
とおいところにいるあなた、あったことのないあなた
反射する石をつくり、空間を変容させる人?
わからないあなたの物語
今私は、あなたという「不明」を旅したいとおもっています。
でもきっと、これから二人でどうなるかは
「不明」です
とても楽しみな「不明」
インゲは「隙間の地形_川のはなし」主題に興味をもち、彼女の中で何かが生まれてきているようです。
私も彼女から聞くはなしのなから新たな物語が生まれてきています。
ーーー
あったことのない、私たちの会話は犬が散歩するみたいだと彼女が言う
そうだね
あっちにいったり、こっちにいったり
匂いを嗅いだり
実際匂いはしないんだけど
気配もなくて
Iが話すリズムを少し覚える
Mariko ASAI
ingepanneels
2021.04.29
2021Start Line
精神の<北>へ2021はこれまでに経験したことのない状況で進んでいる。
人は、新しい距離や対話を模索している。
Gillian McFarlandと滝沢達史は、この状況において互いの距離を近づけることからスタートした。
土地への移動ができなくなった今回、体験を共有するために互いの国の料理を交換することにした。スコットランドからは麦のお粥「ポリッジ」の食材が送られ、日本からは喜多方の伝統料理「こづゆ」の食材が送られる。スコットランドは度々ロックダウンとなる中にあって、改めて、身体が自然を摂取することについて2人は考えている。
このやり取りの途中でGillianは、こづゆの食材であるキクラゲ(アラゲキクラゲ)「英訳=Cloud Ear Mushroom」という言葉に着目した。それに滝沢も呼応して、
「コロナ禍における世界中の音を聴く<雲耳>」というイメージが生まれた。
「cloud ear」を2人のコラボーレーションタイトルとして、秋までの巡回展は「雲耳」を探す旅となるだろう。
6月にスコットランド/パースで開かれる展覧会では、食の交換と、風景の交換をする。
風景の交換では、互いの土地で見つけた流木で椅子を作り、それを持って山に登る。このアイデアは滝沢が2013年に原発事故後の喜多方の山に椅子を背負って登ったプロジェクトに起因している。それに加え今回は、スコットランドの伝統的な織物であるタータンも持参する。タータンの柄は領土との関わりが深いことから、2つの要素はその先に接点がありそうだ。
まずは互いの座標を定め、それぞれの<北>を目指す旅が始まる。
Gillian McFarland
Tatsushi Takizawa
(English follows below)
日本とスコットランドの参加作家たち8名は、両国から1対1のペアを組み、4組のペアになりました。今年に入り、ペアの間で選んだ交流方法を開始しています。
まずは、互いを知ることから。Zoomでの会話を始めるペア、自分の興味を表す画像とコメントを交互にメールで送り合って対話するペア、いろいろです。
ペアごとの交流について紹介する「アーティストの交流ブログ」を、このサイトのトップページに新設しました。今後、日本人4名によって綴られていきます。
3月28日、ペア4組のコミュニケーションの進捗を全員で報告しあうため、8名によるZoomミーティングを開きました。全員で顔をあわせるのは2回目です。
プレゼンから想像できる、ペアごとの対話の内容は実に様々です。コロナ禍のため、ロックダウンが続いているスコットランド、移動の自粛を続けている日本。これらの行動の制限下で、人はかえってイマジネーションが大きく飛翔するのか、非現実的な架空の話のようなプレゼンもあって、それが互いに刺激し合う相乗効果を生みました。
6月には、この交流活動のスタートである、パース市のThe Creative Exchangeでの展覧会を予定しています。果たしてロックダウンが解除されて開催を実現できるのか?観客に公開できない場合は、オンラインでの公開にするための準備も抜かりなく進めます。
アーティストたちは、通常の開催を希望しながら、10月まで断続的に開催する5つの交流展を見据えて準備を続けます。
Eight participating artists from Japan and Scotland formed one-to-one pairs from both countries. We are continuing the exchange method of choice between the pair.
First, for getting to know each other, there are many ways to interact.
“Blog by Artists”, which introduces the interaction of each pair, has been opened on the top page of this site. Each Japanese artists will write, soon.
On March 28th, we held a Zoom meeting of 8 artists and all of them reported on the progress of communication between the 4 pairs. The presentations were really diverse. Will people create a big imagination under the restrictions of behavior by Covid-19? There was also an unrealistic, fictional presentation that created a synergistic effect that stimulated each other.
In June, we are planning an exhibition at The Creative Exchange in Perth, which is the start of our project. Can the lockdown be released and the event be held? If our gallery cannot be published to the audience, we are also preparing to publish it online.
We will continue to prepare for the five exchange exhibitions that will be held intermittently until October, hoping for regular events.