地球の北方に住む人々には、国や民族の違いを超えて、何か共通の精神性があるのではないか?
「精神の〈北〉へ」は、この探究心を持って、東北と世界の北方のアーティストの交流により、北方人同士に共通する精神性:「北方的精神」を探り続けています。これは、東北地方に深く関わる探究と、グローバルな視野とを組み合わせた、北方論を共に織り継ぐ人類としての恊働であり、それによって、3.11で多くを失った東北人のアイデンティティを見出す応援でもあります。
2015年、当プロジェクトは福島県会津地方にて、東北とフィンランドの交流展を開催し、観客を交えた深い共感を実現しました。そして、日本とフィンランドの修交100年にあたる2019年、フィンランドの北方、ラップランド地方の中心都市ロヴァニエミ市のロヴァニエミ美術館にて、先の交流をさらに深化させる開催を計画しています。
ラップランド人は、自然との精神的な深い結びつきや被征服の歴史など、東北人との多くの類似を持っています。これまでの福島での活動との合わせ鏡のように、ラップランドの土地と人々、精神性を感受し、現地の作家との理解を深め、その成果を展覧会に反映させます。
展示空間に集うのは、インスタレーション、絵画、彫刻、映像とその音に加え、パフォーマンスやダンスの身体表現や、芸術人類学、サーミ考古学に及びます。これらの表現者に共通するのは、この地球に束の間存在する生物である私たち人間が、多様性を受け入れ、他の生物と調和し共存できる世界を、未来へと手渡そうとする意識です。異なるジャンルが静かに共振して行く様は、不寛容によって分断に進む世界とは対極の表現空間を呈示するでしょう。
【会期】2019年9月20日〜2020年1月26日
【会場】ロヴァニエミ美術館(ロヴァニエミ市、フィンランド)
【主催】精神の〈北〉へ 実行委員会/ロヴァニエミ美術館
【協力】
助成:Wihuri Foundation、公益財団法人朝日新聞文化財団、公益財団法人ポーラ美術振興財団、The Japan Foundation
後援:福島県立博物館
【表現者】
日本/丸山芳子(兼日本側キュレーター)、中津川浩章、千葉奈穂子、丸山常生、石倉敏明
フィンランド/ヘレナ・ユンティラ(兼フィンランド側キュレーター)、ミア・ハマリ、ティッタ・コート
スウェーデン/アマンダ・ビルバリ
【講演者】
石倉敏明(芸術人類学、同年のベネチア・ビエンナーレ参加)、ソイリ・ニュステン-ハーララ(環境法学)、丸山芳子(アーティスト・当プロジェクト企画者)、他
中津川浩章 NAKATSUGAWA Hiroaki 光の船団」2011
丸山芳子 MARUYAMA Yoshiko 「命のはじまり 3」2017
ヘレナ・ユンティラ Helena JUNTTILA 「トンボ」2015
ミア・ハマリ Mia HAMARI 「聴く人」2017
丸山常生 MARUYAMA Tokio (諫早市美術・歴史館でのパフォーマンス光景) 2017
丸山芳子 MARUYAMA Yoshiko 「森羅万象というあなた」2017
石倉敏明 ISHIKURA Toshiaki 「釜津田のシシ踊り」2017
ヘレナ・ユンティラ Helena JUNTTILA cooperation: Jukka TARKIAINEN 「故郷を離れて」2018
千葉奈穂子 CHIBA Naoko 「浜辺のまち」2017
アマンダ・ビルバリ Amanda BILLBERG 「Falling in Forest」2017
丸山常生 MARUYAMA Tokio (東京都美術館でのパフォーマンス) 2017
アマンダ・ビルバリ Amanda BILLBERG 「Falling in Silver」2017
ティッタ・コート Titta COURT
2018.10.26