2021.04.12
一年以上もの間、地球は新型コロナウィルスという未知の疫病に覆われ、私たち人類はみな同じ舟に乗り合わせて共通の困難をのり越えようとしています。コロナ禍は人類にとっての災禍だけでなく、人類と他の生物との共存について再考すべきだという警告です。そして疫病を前にして、人間同士の格差や差別意識も浮き彫りにしました。
私たちは今、これまでの意識や慣習をゼロから見直すべき節目にあります。今こそ、互いの立場や違いを理解し、精神の深いところの共鳴を導き出そうとする「精神の〈北〉へ」のような活動が必要なときです。
今年の交流相手である英国スコットランドとの活動では、私たちは交流に欠かせない「直接会う」ことをコロナ禍に阻まれ、その制約のなかで、可能な交流の方法を見出そうとしています。
東北や北方の国とゆかりが深い日本人4名と、英国の北方であるスコットランドの4名が、1対1のペアを組み、半年間のコミュニケーションを継続します。ユーラシア大陸の東と西の淵という距離を超えて、互いに共鳴する精神性を見出そうと試み、そこから得られるものを作品に反映させます。その表現には、互いのことを知ろうと真摯に向き合うコミュニケーションの成果が現れるでしょう。
スコットランドの都市や北方の島々と、福島県会津地方の2市町をつないで開催する展覧会では、深い交流の成果としての両国8名の作品を展示します。コロナ禍というハードルを越えるために、チャレンジングで、プロセスと思考そのものが根幹となる交流活動。世界とつながる新しい方法を見出すために、果敢に挑戦する参加作家たちの取り組みをご紹介します。
交流のハイライトとして、両国の会場同士、または会場と作家のスタジオをオンラインでつなぐ4回の催しや、シンポジウムでの講演やディスカッションもご期待ください。
【アーティスト】
日 本/丸山 芳子、滝沢 達史、浅井 真理子、丸山 常生
スコットランド/ スー・グリアソン、ジリアン・アデア・マクファーランド、カイラ・クレッグ、インゲ・パニルス(海外作家の来日はありません)
【開催内容】
日本とスコットランドが同時に連携して開催する日英共同企画
◇両国作家8名の、交流成果の作品
・インスタレーション、映像、写真、絵画、立体作品、パフォーマンス、これらのコラボレーション
・ペア間の対話&交流の経緯紹介
◇プロジェクト過去10回の開催のアーカイブ(映像、記録集、写真など)
◇オンラインの対話交流催し:各開催にて
◇子供の異文化体験アート教室:10/3(日)・10/17(日)
◇シンポジウム:10/17(日)
講演「北と惑星思考」結城正美氏(青山学院大学 文学部英米文学科教授)
【開催スケジュール】
◆ 2021年6月1日~27日:「精神の〈北〉へ vol.11」(スコットランド展)
パース市:Perth Creative Exchange(複合的なアートセンターのギャラリー)
◆ 2021年9月4日~11日:「精神の〈北〉へ vol.12」(スコットランド展)
シェトランド諸島:Gaada(シェトランド諸島のBurra島にあるコミュニティー・スペース)
◆ 2021年10月3日~17日:「精神の〈北〉へ vol.13」(日本展)
福島県喜多方市:南町2850・絵本の蔵・二十間蔵(喜多方市南町 伝統的建造物群保存地区)
◆ 2021年10月22日~29日:「精神の〈北〉へ vol.14」(両国同時開催展)
福島県西会津町:西会津国際芸術村(レトロな木造校舎の文化施設)
⇆ ストーノウェイ町:An Lanntair「精神の〈北〉へ vol.15」 10月23日~11月6日
(スコットランド北方ルイス島のアートセンター)
【リンク】
精神の〈北〉へ 2021年のプロジェクトは、以下のスコットランドのプロジェクトと互いに連携しています。
【ご協力】
-ご支援に感謝いたします-
助成:公益財団法人 花王芸術・科学財団、朝日新聞文化財団
共催:西会津国際芸術村
協力:キタ美実行委員会
2020.08.29
昨年の秋、丸山はフィンランドでの展覧会をスタートさせた後に英国北方のスコットランドに飛んで、Su Griersonさんとの再会のひとときを過ごしました。スーさんは「精神の〈北〉へ」の1回目の参加作家で、2013年の冬、福島県会津地方に招き、共に滞在活動と展覧会をしています。今回、彼女から、東日本大震災から10年目の2021年に、スコットランドでの『精神の〈北〉へ』開催を提案されました。
このような提案は、とてもうれしいことです。なぜなら、企画者の私と同様の強い意欲を持った人と取り組むと、推進力がはるかに大きくなります。これは、フィンランドでの開催で確信しました。交流国双方で準備すると、意欲も、資金獲得も、広報力も倍、片方でするよりもずっと可能性が広がります。今年に入って、私とスーに、スコットランドのアーティスト、ジリアンさんが加わり、私たち三人は運営チームとして2021年のスコットランド開催にむけて準備をスタートしました。少人数のチームワークは強く、だれもが責任感を持って、前へ前へと押していきます。
ところが今年に入ると、新型コロナウィルスが世界中に蔓延し、計画は大きく変更を強いられました。予定していた会場もレジデンスもみんな閉鎖し、日本から英国への渡航自体が、かなり難しくなりました。それなら、会うことのできないこの状況の意味を熟慮し、互いの理解を深める新しい方法を見出すことにチャレンジしよう。今後、このコロナ禍がどう推移するか予測がつかないため、そのような条件にフレキシブルに対応できる感性を見せるアーティストにコンタクトし、日本側作家4名、スコットランド側の作家も4名が決まりました。
開催は両国双方がスペースを設定し、両方の展覧会に8人全員の交流が反映され、互いにリンクした開催にしたいと思います。日本側も会場が必要となり、東京のある企画公募への応募と、久しぶりの会津地方での開催をめざして準備中です。
東北の震災から10年目にむけた、「精神の〈北〉へ」11回目。
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会期予定:
東京/2021年6~7月、福島/2021年10月
会場:
東京/審査中
福島/喜多方市(南町2850・絵本の蔵・二十間蔵・村藤店蔵)、
西会津町(西会津国際芸術村)
参加作家:
日本/丸山芳子、浅井真理子、滝沢達史、丸山常生
スコットランド/スー・グリアソン、ジリアン・アデア・マクファーランド、カイラ・クレッグ、インゲ・パニルス
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Last fall, I visited Su Grierson in Scotland, north of England. Su is the first participating artist of “Spirit of North” held in the winter of 2013.
She proposed me to hold “Spirit of North” in Scotland in 2021, the 10th year since the Great East Japan Earthquake.
With the addition of Scottish artist Gillian Adair McFarland to me and Su, the three of us have begun preparations for the 2021 exhibition in Scotland as the organizer team.
However, earlier this year, the new coronavirus spread around the world, forcing a major change in our plans. All the planned venues and residences were closed. Traveling from Japan to the UK has become difficult.
So we decided to consider about this unusual exchange that we cannot meet each other and find new ways to deepen mutual understanding.
We will prepare venues in both countries, and both exhibitions will reflect the exchanges of eight artists, and the venues will be connected to each other remotely.
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Time:
Tokyo/ June-July 2021, Fukushima/ October 2021
Venue:
Tokyo / Under judgment now
Fukushima / Kitakata City( Minamimachi 2850, Ehon-no-kura, Nijukken-gura, Murato-mise-gura)
Nishiaizu Town (Nishiaizu International Art Village)
Participants:
Japan/ Maruyama Yoshiko, Asai Mariko, Takizawa Tatsushi, Maruyama Tokio
Scotland/ Su Grierson, Gillian Adair McFarland, Kyra Clegg, Inge Panneels