2014.08.27
8月19日
あえて尋ねるからこそ、語られ、記録される生活のなかの文化。
問わなければ、個人の記憶にとどまり、いつか消えてしまいます。
昭和村で宿泊した「とまり木」の主キヌイさんに尋ねた婚礼の日のこと。このあたりでは、花嫁側と迎えにきた花婿側の双方の唄い手が道ばたで唄の掛け合いをしたそうです。その唄はしみじみとする良い台詞だったとか。そのようなシーンに立ち会ってみたかった…
今なら、通りがかりの人までが録画してインターネットの海に放り込むでしょう。しかし、そのような道具のなかった時代の貴重なことがらの記録と伝承には、菅家博昭さんのように丹念な問いかけが意味を持ってきます。
この日、菅家さんを再び訪ね、森の生態の特徴や動物の気配に満ちたエリア、村の精神世界に関わるポイントを見て回りました。
博士峠近くのブナ清水付近には、人が歩いていた頃の古道や一里塚、巨石の上に山の神の社跡がありました。陰樹のブナはもやしのようにグループで育ち、互いに木陰をつくって支え合います。
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ブナの果実は、丸い殻の中に2粒。熊はその皮をさらにむいて食べるのだそうです。あの前足で…?地面の芽は5年目程度のブナ。ゆっくり育ちます。
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小野川の大乗寺には、菅家さんが聞き取りした「会津物語」の『火車猫むがし』で語られた地蔵様が建っており、実物をみると話の不思議な出来事に現実味が増してきます。寺の後方で見た像は1700年頃のもので、寺なのに聖母子像にも見え、その右手は指が6本。どういう意味があるのか謎めいています。
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集落のはずれの権現様。村に魔物が入らないように結界とされています。
このような場の手入れの具合で、人々の意識がまだここにあるかがわかるらしい。木や草など、手入れの面倒なものがあるほうが、人々に関わりを強制するので地域を維持する仕組みになるのだそうです。
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精神の<北>へ vol.3 9月7日(日)14:00〜
3組の異分野クロストークがあり、菅家さんと丸山が対話する予定です。
詳細はニュースでご確認ください。
2014.08.27
8月18日
vol.3の準備のため、昭和村入りしました。
まずは、プロジェクトリーダーズ会議を金親さんと。構想はvol.3の先へ続く活動に向けて。活動のためには、基地&レジデンス&プロジェクト広報として有効利用できるオルタナティブスペースがあって、関係者が自由に使用できたらいいね…などなど。(大芦のファーマーズカフェにて)
沢沿いの道をたどり、ありのままの昭和村を見て回ります。
にわか雨が地表を潤すと、大きな虹が現れ、山からも道路からも水蒸気が立ち上りました。雲〜雨〜水蒸気〜雲。ビルや人家に遮られない広い視界が可能な昭和村では、空と大地との水の循環と、そのなかに自分がいることを実感できます。
通りかかった大山祇神社。林の中は、入るのを躊躇するほど薄暗く、石段も石灯籠もすべてが苔むしていました。ケヤキ?の根が大蛇のように石段の周囲を這い回り、この神社に流れた時の長さを想像させます。
宿泊した大芦の農家民宿「とまり木」の窓から、人家〜田畑〜墓地〜里山〜奥山のグラデーションが見られます。肉魚以外は、みんなここから収穫できるという環境。
畑を熊が横切ることもあるらしい。