2021.05.23
Suとは、すでにこれまで親しい交流をさせてもらっており、お互いの人柄、それぞれの長いキャリアでどのような方法・テーマで制作してきたか、ある程度知り合っている間柄。
彼女は、ビデオや写真、テキストを駆使しながら、身近な環境(特に風景からインスパイアされた)に内在する社会問題に切り込んできたアーティスト。
私自身のこれまでのアプローチと重なる点も多いと感じている。
初めの8人のズームミーティングで、彼女は自分のプレゼンで気候(climate)への関心を示した。
それは私が知っているこれまでの彼女の作品とともに、深く理解・共感できるものだった。
Suのプレゼンでの画像(一部)から
一方、私のプレゼンは、「北」のテーマといかに絡むかのアプローチから、自分の出自でもある東京という都市環境における「端っこ(edge)」を切り口の一つとして、「場所と身体の関係」とそこから生ずる「行為と感覚」について簡単に自己紹介。
Tokioのプレゼンでの画像(一部)から
この後、「簡単なキーワードや画像から」というシンプルな形で、以下のようなやりとりがゆっくりと始まった。
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彼女から送られた画像(上)に引かれた補助線とキーワード(水位)から、私は自分の以前の作品から、例えば以下のようなインスタレーションの画像で応答。
お互いの共有できる内的イメージに少しずつアプローチし始めた。
私の写真(上2枚_2012年)は、川の水位の変動と氷の形成過程を観察するアプローチの野外インスタレーションとパフォーマンスをした時のドローイングと画像。(下2枚_2020年)は、やはり「水位の変動」がテーマの一つとなったインスタレーション。
他にもいくつか画像をやりとりしたが、ひとまず、このような気候(気象)や、環境変動などへの共通の関心が共有され始めた。
2021.05.18
私はカイラとの対話で、深めていきたいテーマがある。
カイラは「スコットランドの風景と自然は、私のアートの表現行為に、無数のかたちで継続的に影響を与え続けている。」と書き、風景をテーマにして、その声を聴こうとする。
カイラと「場所」の話題になったとき、さまざまな記憶が蘇った。
人には離れがたい場所がある。
10年前に福島で原発事故が起こったとき、海外のアーティストが「逃げてこい!」と私に勧めた。そのとき私は、日本がどうなるのかを、アーティストとして見届けたいと思った。
津波に襲われた海辺や、原発事故が起きた町にさえも、人は再び戻って暮らそうとする。
アイスランドで見かけた吹雪の中で乳母車を押す若い母親は、そんな厳しい環境のなかで子育てをする。
人を離れがたくするわけはなんだろう?
原発事故の影響を受けた、福島の農業、林業も、土地と深く結びついている。
I have a theme that I would like to deepen in the dialogue with Kyra.
Kyra writes, “The landscape of Scotland and nature, in all its myriad forms, is an ongoing influence in my artistic practice,” and she listens to the voices of landscape.
There are places that people cannot leave.
Discussions with Kyra, revived memories of people and places.
When the nuclear accident happened in Fukushima 10 years ago, an overseas artist said to me, “Escape here!” But as an artist I stayed to bear witness.
At the beach hit by the tsunami and in the town where the nuclear accident occurred people try to return and live there again.
Far away, in Iceland, I saw a young mother pushes a baby carriage in a snowstorm.
What makes it hard for people to leave places?
Fukushima’s agriculture and forestry, which were affected by the nuclear accident, are also deeply linked to the land.
2021.05.02
(English follows below)
2013年に、私はカイラ・クレッグさんの作品に出会っていた。
なぜなら、「精神の〈北〉へ」vol.1のゲスト・アーティストだったスー・グリアソンさんが、自国のアーティストとして紹介してくれたのだ。私はカイラの表現に、なにか自分と共通するものを発していると感じた。
今回のプロジェクトでペアを組んだ私とカイラは、自己紹介として、表現のテーマにしていることや興味のあることについて、画像とコメントを組み合わせたメールを互い違いに送り始めた。交換日記のような感じで。
送りあった画像のいくつか:
「精神の〈北〉へ」では、これまでに北方の国のアーティストとの交流をしてきたが、今回のように1対1の個別の関わり方をするのは初めての試みだ。コロナ禍に直接会う交流を阻まれたことで、会えないことを補おうと、互いを知る手段を手繰り寄せようとする。かえって会える交流よりも交流相手に向き合う度合いが深く、親密と言える。
私とカイラが共通して関心を寄せているのが、人間と人間以外の存在との関係、人間と土地/風景との関係についてだ。
カイラは、風景をかたちづくる川や山、木や石などが内包している声「Other Voices」に耳をすまし、一方、私は、人間が生物のひとつとして、森羅万象の中に自らの在り方を探す作品をつくってきた。
今年、6月から11月まで、日本とスコットランドの5つの地域で展覧会をリレーする。
私とカイラは、ユーラシア大陸の東と西の端に位置する日本とスコットランドにおいて、共通のテーマを持つインスタレーションを協働でつくろうと思う。
もちろん、いっしょに作業することはできないが、私たちが重ねていく対話によって生まれるそのふたつの作品が、9100キロ彼方から響きあうはずだ。
In 2013, I encountered Kyra Clegg’s work when Su Grierson, who was a guest artist of “Spirit of North” vol.1, introduced her works. I felt something in common between mine in Kyra’s expression.
Kyra and I made a pair in this project, we started e-mails for communicating with words and images introducing our ideas and artistic themes to each other, like an exchange diary.
In the international exchange of “Spirit of North”, this is the first attempt to have a one-on-one individual relationship like this.
We are trying to know each other in this way to make up for the situation where we cannot meet directly due to Covid-19. These circumstances have led to a deeper more intimate dialogue than if we had been able to meet face to face.
Kyra and I have common interests in the relationship between humans and “more than human”, and the relationship between humans and land/landscape.
Kyra listens to “Other Voices,” which are the rivers, mountains, trees, and stones that make up landscape, I search for what humans should be as one of the living things with “more than human.”
We will collaborate to create installations with a common theme in Japan and Scotland, which are located on the eastern and western edges of the Eurasian continent.
The two works will be created by our continual dialogue and should resonate from 9,100 km away from June to November at the exhibitions in five regions, Japan and Scotland.
2021.05.01
私が書いた「川のはなし」を他者につたえると、
口伝によって変容し、翻訳によって変容する。
その隙間が作る世界の事を考える。
cf: 浅井真理子 四つの谷の話
https://www.marikoasai.com/in-between-sukima-no-chikei
https://www.marikoasai.com/four-stories-of-a-valley-2019
口伝・翻訳によって変容していく物語
キーワード:語族マップ
日本語⇨英語⇨インゲの母国語(フラマン語)
日本語⇨(英語)⇨ハンガリー語・フィンランド語など言葉のジェンダーが弱い言語
日本からスコットランドの最終展覧会の土地のゲール語への語族の流れにそって変容の旅をするプラン
インゲはAI変換の変容にも興味あり 真理子は? その辺のズレや隙間もおもしろい